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また、初・経産別でみると、有意差(P<0.05)がみられた処置は、「分娩監視装置」(初産婦1.41<経産婦1.49)、「会陰切開」(初産婦3.22>経産婦2.97)、「内診」(初産婦1.89<経産婦2.01)であり、「分娩監視装置」「内診」では初産婦がより有意に肯定しており、「会陰切開」では逆に経産婦がより有意に肯定していた。さらに前回の出産でそれぞれの処置を受けた群が受けなかった群よりも対応する5項目(内診を除く)で有意(P<0.01)に肯定していた。
これらを学歴別にみると、有意差(P<0.05)がみられた処置は、「浣腸」(中・高卒2.57>短・大卒2.39)、「剃毛」(中・高卒2.58>短・大卒2.38)、「分娩監視装置」(中・高卒1.50>短・大卒1.41)であり、短・大卒のほうが各処置共より有意に肯定していた。「会陰切開」「分娩促進」「内診」については有意差がみられなかった。
さらに、分娩時の処置を会陰切開・分娩促進(平均2.09)の危険を伴いやすい(母児の生命の危険に直結する)と思われる処置群と浣腸・剃毛・分娩監視装置の装着・内診(平均3.23)の危険を伴ないにくいと思われる群とに分けて比較したところ、危険を伴う群が処置を有意に(P<0.01)肯定していることが明らかになった。

 

5. 仮説5:(過ごし方は制限されないことを希望するであろう)
「出産直前までどのように過ごしたいか」を表に示した(表5)。週ごし方の13項目を示し、その中から3項目選択してもらった。全体で希望の多かった項目は、「体位や姿勢を拘束されたくない」「面会の時間や相手の制限をされたくない」「畳や絨毯などの上でゴロゴロ横になったり好きな体位を取りたい」であった。
施設別にみると、「体位や姿勢を拘束されたくない」「畳や絨毯などの上でゴロゴロ横になったり好きな体位を取りたい」「呼吸法を取り入れたい」で、病院と助産所、診療所と助産所の2施設間で、助産所にこれらの希望が有意(p<0.01)に多かった。
上記以外の項目「テレビや本など視聴したい」「ベッドの上で過ごしたい」「シャワーを浴びたい」等は、施設間で差はみられなかった。初・経産別では上位(希望の多い)の項目では有意差はみられなかったが、「普段通りに食事を取りたい」「トイレに行ってお小水をしたい」が初産婦に、「特に希望はない」が経産婦に有意差(いずれもp<0.01)がみられた。学歴別では「体位や姿勢を拘束されたくない」で経産婦が有意(p<0.01)に希望していた。

 

6. 仮説6:(分娩への参加のニーズは高く、参加者に夫が多いであろう)
「出産の時(子供が生まれる前から)誰かそばにいてほしいか」では、「はい」が74.8%で最も多く、次いで「どちらでもよい」10.4%、「いいえ」9.5%、「わからない」5.2%の順であった。初・経産別にみると「はい」は、初産婦749名(76.6%)が、経産婦727名(73.1%)より有意(p<0.01)に高かった。そばにいてほしい理由は、「気持ちが落ち着く」833名(57.3%)、が最も多く、次いで「赤ちゃんの誕生を一緒に体験できる」220名(15.1%)、「腰をさすったり、汗を拭いてもらえる」90名(14.7%)の順であった。
そばにいてほしい人では、夫1224名(84.2%)、実母118名(7.9%)、家族90名(6.1%)の順であった。
また、いてほしい時期は、「入院から出産終了まで」756名(50.9%)が最も多く、次いで「入院から出産直前まで」442名(29.7%)、「出産の時のみ」128名(8.6%)の順であった。

 

 

 

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